阿波忌部氏と阿波和紙
阿波和紙の起源を阿波忌部氏に直接求めるのではなく、麁服・麻・祭祀・植物繊維加工という阿波に根づく文化の流れから、阿波和紙を理解するための背景をたどります。山崎忌部神社を入口に、麻・楮・雁皮へと続く植物繊維文化のつながりを考えます。
紙への道 : 紙以前
人類は、記憶を言葉や物語として伝える時代から、結縄、洞窟壁画、石、骨、粘土板、木簡、竹簡、パピルス、羊皮紙、樹皮布などを用いて、記録を身体の外へ残す工夫を重ねてきました。本稿では、紙が生まれる以前の記録媒体をたどりながら、紙が「記憶を形にする面」として成立していく長い道のりを紹介します。
阿波藍と和紙の技術と文化史
阿波藍と阿波和紙という二つの地域文化が出会って生まれた藍染和紙。本稿では、紺紙金泥経や色雁皮紙に見られる染紙文化から、阿波藍の歴史、藍染の原理、こんにゃく加工による和紙の補強技術までを整理し、藍染和紙を農業・発酵・染色・製紙が結びついた阿波独自の工芸として位置づける。
明治期の川田和紙との再会-グラスゴー訪問調査記
明治期に川田で漉かれた雁皮紙が、文物交換によってグラスゴーの博物館に伝わっていた。原田家に残る資料、『造紙説』、久米康生氏の著作を手がかりに現地を訪ね、ケルビングローブ美術館関連資料として保存される和紙を確認した訪問調査記。川田和紙を地域史だけでなく、近代日本の国際交流史の中に位置づけ直す試みである。
広重《阿波 鳴門の風波》復刻の記録
歌川広重《阿波 鳴門の風波》を阿波和紙で復刻するまでの道のりをたどる。原安三郎コレクションとの出会い、初摺で知ったキラの魅力、ぼかしの技法、そして紙が受け止める青の深さを通して、木版画という総合芸術の奥行きを見つめ直した記録。
華林製紙工房遺跡から読み解く古代製紙技術(第4回・最終回)―東アジア製紙技術史の中で和紙を再定位する―
これまで三回にわたり、華林製紙工房遺跡の現地踏査、発掘資料の整理、そして紙薬(植物性粘剤)の技術的意味について検討してきた。本稿では、それらの知見を総合し、東アジアにおける製紙技術の展開の中で、日本の和紙技術をどのように […]
華林製紙工房遺跡から読み解く古代製紙技術(第3回)―紙薬(ネリ)はいつ成立したのか―
はじめに 前回は、華林製紙工房遺跡の発掘成果から、原料処理から抄紙・乾燥までの製紙工程全体を再構成しました。その結果、この遺跡が高度に設計された生産システムであったことが見えてきました。 今回は、その中でも特に重要な「抄 […]
華林製紙工房遺跡から読み解く古代製紙技術(第2回)
―発掘資料に基づく製紙工程の全体像― 前回は、華林製紙工房遺跡の現地踏査を通じて、製紙工程の全体像を現地のみから把握することの困難さと、文献・考古資料の統合的検討の必要性を確認した。本稿では、中国側の発掘報告、特に王意乐 […]
華林製紙工房遺跡から読み解く古代製紙技術(第1回)
―現地踏査から見えてきた問題構造― 本記事では、中国江西省の華林製紙工房遺跡を手がかりに、古代製紙技術の実態を考えます。とくに、抄紙工程における植物性粘剤(紙薬)の役割に注目し、日本の和紙技術との関係も視野に入れながら検 […]









